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くすりが患部に届くまで

くすりとからだの関係

一般的な飲み薬の場合、食べ物と同様に、食道から胃へ、胃から腸へ行き、吸収されて、さらに肝臓へ運ばれます。その大部分はそのまま血液中に入り、血管を通って患部へ届けられます。

特に重要な働きをするのが肝臓です。薬を飲むと肝臓で分解されて、病気を治すのに適切な濃度(成分量)になって血液中に入り、患部へ運ばれます。

くすりは、次のような流れで患部まで運ばれていきます。

くすりを飲む
胃を通過
腸で吸収
肝臓で処理
血液へ 注射・点滴:直接、血管などへ注入
身体の組織(患部)
肝臓で再び処理
腎臓で処理
体外へ
 

くすりの効果を高める工夫

薬の成分によっては、途中で胃に影響を与えたり、反対に胃酸などの作用で効果が弱まってしまうものもあります。こうした問題を解決するため、現代の薬には「ドラッグ・デリバリー・システム(薬物送達システム)」(以下DDS)の考え方が取り入れられています。これは、「薬をもっとも効率よく、かつ安全に患部へ届けるための工夫」のことです。

◆ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)の考え方
薬を飲むと成分が吸収されて全身に運ばれます。薬は患部だけに到達して、不要な部位には届かない方が副作用を減らすことができます。また、患部に運ばれる途中、肝臓などで分解されて必要な量が患部に届かないこともあります。

薬を患部まで運ぶ「DDS」は、薬の治療効果を高めるだけでなく、副作用の軽減も期待できます。一般的に薬は、「必要な時に、必要な量を、必要な部位に」到達させるのが理想とされています。

そこで、薬を膜などで包むことにより、患部に到達するまでに分解されないようにして、過剰な投与を抑える技術「DDS」が考え出され、現在、注目されています。「DDS」は大きく分けると、3つの考え方があります。

1.剤形技術
注射薬を飲み薬や貼り薬にしたり、子供や高齢者には唾液により口の中ですぐに溶ける速溶性の薬を開発するなど、薬の形を工夫する技術です。

【くすりの形の一例】

口腔内崩壊錠(細かい穴をあけるなどの工夫がされている)
糖衣錠(二重構造になっている)

見た目は普通の錠剤と変わりません。口の中の唾液ですぐに溶けるように工夫されていて、飲みやすい薬になっています。

苦い薬を飲みやすくするための役割のほかに、薬を二重構造にすることで、胃での分解を避け、腸などの目的の場所で効くように工夫した形になっています。

2.安定化技術
成分や性質が不安定な薬を、体内で上手に働かせるための技術で、多層構造の錠剤やマイクロカプセルなどがあります。

3.ターゲッティング技術
病巣を狙い撃ちするための技術で、ミサイル療法とも呼ばれています。

量・時間とくすり

一般的に、飲み薬が吸収された後、肝臓を通過して血液中に入り効果を発揮するまでには、15~30分程度かかります。薬を飲んだ時、すぐに効かないからと続けて飲み足したり、他の薬を飲んだりしないようにしましょう。

【飲む量と時間による血液中のくすりの濃度の変化】

 

監修:
慶應義塾大学 薬学部 医薬品情報学講座
教授 望月 眞弓先生